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高麗手指鍼(こうらいしゅししん)について

2023年追記:現在、当院では以下で解説する高麗手指鍼メインでの施術は行っていません。この療法を希望される方は、専門でやっている治療院に行かれることをお勧めします。

患者さんの症状によって、手指、手のひら・甲に専用の小さな鍼をする「高麗手指鍼(こうらいしゅししん)」を使うことがありますので、説明を記載します。

高麗手指鍼は、こちらで必要と判断した場合に使用しますので、全員に使用するわけではありません。

高麗手指鍼とは(大まかな説明)

足裏に全身を投影させたリフレクソロジーは有名ですが、その「手」バージョンのようなものと思っていただくのが分かりやすいかと思います。

画像引用:柳泰佑(2001) 『高麗手指鍼講座(日本語版)』たにぐち書店
画像引用:柳泰佑(2001) 『高麗手指鍼講座(日本語版)』たにぐち書店

さらに、気の流れのルートである「経絡」も手指の範囲にまとめられているのが大きな特徴で、それによって一般的な鍼灸治療と同様、五臓六腑(厳密にいえば六臓六腑)の虚実のアンバランスを整えることが可能になります。

画像引用:柳泰佑(2001) 『高麗手指鍼講座(日本語版)』たにぐち書店

「高麗」という名の通り、韓国発祥です。1975年に発表されましたので、長い長い鍼灸の歴史の中では新しいものになります。

 数年前に、韓国で2年に一度行われる学術大会で、韓国・日本・フランスなどで臨床研究されている方々の発表を聴講したのですが(日本語同時通訳が聴けるイヤホンが一人ずつ配布されるのも驚きです)、創始者である柳泰佑博士が壇上に上がると、鍼灸師だけでなく多くの一般人で埋まった会場からどよめきと歓声が起こってびっくりしました。韓国の医療の背景には詳しくないですが、それくらいカリスマ的存在で、治療法も民間に広まっているということを感じました。

どんな症状に?

 私が実感してきたのは、高麗手指鍼は「内臓疾患」「脳・脊髄系の疾患」「関節の疾患」に効果が高いということです。

また、風邪やつわりといった症状から、免疫系の疾患、アトピー、冷えなどあらゆる症状に対する処方を学びましたし、がんや難病治療を専門にされていた先生もいらっしゃいます。今後、私自身で効果を示せる症例を増やしていきたいと思います。

 肩こり腰痛・膝痛などの運動器疾患は、筋肉・筋膜も関わっていますので、一般的な体への鍼も併用します。

実際の鍼

実際には、こんな形で刺します。

上の写真は、基本方(全身調整)+αの、ごく軽めの治療です。本数が少ないのでちょっと見えにくいですね。体への鍼も併用している場合はこのくらいから始めます。重症だったり、体の鍼を併用できない場合は手指鍼の本数が増え、

これくらい刺します。初めての方や痛みに弱い方にいきなりこんなに刺すことはなく、少しずつ、様子をうかがいながら行います。刺し終わったら、10分〜25分程度置きます。

話はずれますが、上記のように指に沢山の鍼をした状態と、以前記事に書いた川井先生の治療で、治療ポイントに鍼を何本も打った状態(Facebookページの画像一覧から見られます)に非常に似たものを感じています。

検査と処方決定

症状が出ている部分に対応するエリアに鍼をするだけではなく、上で書いた通り、一般的な鍼灸治療と同様に、「肝・心・脾・肺・腎(胆・小腸・胃・大腸・膀胱)」のバランスも整えていきます。

元々は「肺が弱って咳が出ているなら→肺の気を補う処方をした上で、肺に対応する場所にも鍼をする」といったように、症状に合わせた処方をしたり、三一体質という分類を利用して処方を決めるのが一般的でした。私が勉強したのは、さらに発展させてキネシオロジー(筋肉反射テスト。オーリングテストが有名)による検査を用いたものです。教えていただいた先生の話では、それによって、難病や原因不明の不調など原因となる箇所が分からないような、現代医学では対応のしようがない症状でも対応が可能になったとのことです。

痛いですか?→「ちょっとキツイ」も大切です

手指への鍼が、痛いか痛くないかと言われると、「我慢できないほどではない」というところです。

現代人は、交感神経優位による症状(過緊張、リラックス不足)に悩まされることが多いので、その場合、私は「施術を受けている時の心地よさ」も重視しています。これは「未病」という、完全に健康ではないけれど病気でもない、グレーゾーンの方向けの考えです。このレベルの方には、高麗手指鍼を使うことは少ないです。

ただ、日常生活に支障をきたすほどの、病気寄りのゾーンに入ってしまった人や、原因が見えてこない・複雑な場合は、「リラックスモードに切り替えて自然治癒力に任せて回復を待つ」だけでは不十分で、どうしても、ちょっとキツく感じる治療が必要になることもあります。その1つが、高麗手指鍼です。

本当に辛い方の多くは、「多少痛くても、今の状態が楽になるならなんでもいい」と言います。私は、高麗手指鍼を使うかどうかの判断材料の1つとして、この気持ちがあるかどうかを重視しています。そういう方に実際に手指鍼をすると、「これくらいなら全然平気です」と言う方がほとんどです(そして良くなってくるにつれて鍼が痛く感じるようです・・・)。

また話は少しずれますが、私が気功を教わっている先生は、「ちょっと辛い 」ところまで体を動かすのが健康のためのコツであるとおっしゃっています。日常生活で言えば、軽く筋トレをする、一駅分早足で歩く、エスカレーターは使わずに階段を使う、軽い断食をする、といったところでしょうか。「生活を改めよう」と自分から思うきっかけがないと、なかなか続けられるものではありません。

高麗手指鍼の刺激も、本当に良くなりたい気持ちがあれば耐えられる程度のものということです。

手指への刺激が効果的な裏付け

生理学を学んだことがある方は、ペンフィールドのホムンクルス図を目にしたことがあるかと思います。

体の各部位が刺激を受けると、その情報は脳に到達します。逆に、脳からの指令は体の各部位に到達します。この図では、体の各部位と、それに繋がる大脳皮質の面積比率を示しています。手指(と顔)が大半を占めており、手指と大脳は関連が大きいことが分かります。

爪楊枝などで手指を刺激するだけでも変化が出るのですが、さらに「鍼を刺す」という大きな刺激と、五行の考え方を用いることにより、より大きな効果が出ます。

続きは後日・・・

色々話が散らかってしまいましたが、大まかにこのようなものです。

他にも、生まれた年月日を元に、かかりやすい疾患などを調べることができる「運気体質」や、お灸でのセルフケア方法などお伝えしたい内容はありますが、長くなってしまったので、また機会を見て別記事に書きたいと思います。