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患者さんインタビュー『気合いで乗り切れなくなって』

息苦しさや更年期の症状をきっかっけに来院された患者さんから、お話を伺いました。「自分の経験が、同じように困っている方の役に立てれば」と言っていただいています。

患者さんの情報

Sさん、46歳(2024年1月来院時)、医療関係職

鍼灸を受けるきっかけ

お時間をいただきありがとうございます。まず、Sさんが鍼灸を受けることにした経緯を教えてください。

去年(2023年)体調を崩したのがきっかけです。生理不順や肩こり、夜眠れないといった症状で、婦人科でホルモンバランスの乱れ、更年期と言われました。その後、息苦しさが強く出るようになり、呼吸器内科で軽い喘息と言われました。病院で治療を始めて、夜の強い息苦しさはなくなりましたが、日中の息苦しい感じは続いていました。

それまでは何でも気合と根性で乗り切ってきたタイプで。フルタイムで仕事をしながら、論文を読んだり学会発表をしたり、2人の子供の受験準備などもあって。でも年齢的に限界がきたんですかね。仕事を一時的に休むことになって、結構ショックでした。

そこから鍼灸を受けようと思ったのは、病院での治療だけでは改善が難しいと感じたのでしょうか?

更年期も喘息も、自律神経に関する不調だなと思っていたというのがあって。1時間くらい話を聴いていただける自費の婦人科に行った時にも「運動、漢方、整体、鍼など、自分に合ったものを見つけるのが大事」と言われて。元々まずはなんでもやってみよう、自分で体験してみよう!という性格なので、鍼灸を受けてみることにしました。ヨガも通うようになりました。全身のことは「ここが痛いからこの薬」、みたいな保険診療では難しいかなと思います。

当院にいらしたきっかけ

当院を選んでいただいたのは、ご自宅から近いという以外に何かありますか。

ネット検索をして、いろいろな治療院のホームページを見ました。内容から、こちらなら真摯に向き合ってもらえる感じがしたのと、女性専門で安心だなというのがありました。
医療従事者としては、「絶対治ります!」みたいに書いているところは、誇大広告的に感じて何か違うなって思ってしまいます。

ありがとうございます。
鍼灸院ならどこでも同じと思われている方も少なくないのですが、治療院によって、施術方法・考え方・得意分野・予約ルールなど本当にそれぞれです。人柄が合うかどうかも重要ですね。自分に合いそうか、まずよく調べて選んでいただくのが良いと思います。

宣伝の言葉はかなり気をつけているところなので、医療従事者の方に伝わったのは嬉しいです。
治療院に限らずあらゆる健康ジャンルのサービスで、広告の信憑性の見極めが大事な時代になっているので、ちょっと立ち止まって考えてみていただきたいですね。

はい、身体のことで絶対治るなんて、断言できないですからね。自信満々に治しますとか言えてしまう方が危ない気がします。

鍼灸治療を受けて感じた変化

初めて治療を受けてみて感じた変化や、続けてみようと思った流れを教えてください。

受けた後まず呼吸が楽になりました。体がガチガチだったのがほぐれた感じもありました。「まずは3回くらいは受けてみて・・・」とホームページに書いてあったので、3回は通ってみようと決めていました。受けた後は毎回楽になり、しばらくすると戻ってくるので、続けるのが大事なんだなと分かりました。

初めから「3回通おう」と決めていただけていたのは良かったです。
慢性症状の場合は、最初の数回は、表面的なアンバランスを整えることがメインになります。その先に、より深い問題が見えてくるので、原因に近いところにアプローチしていけます。通院間隔をある程度あけても戻りにくくなるのはそれ以降です。
大体の方が、1、2回で表面的な症状が消えると通うのをやめてしまいます。また辛くなって来院された時は振り出しに戻っている感じで、なかなか根っこにアプローチできません。また、私では思ったように変化が出せないこともあり、その場合はずるずる引き伸ばさないよう、3回以内で判断するようにしています。そういった意味での「まずは3回」です。
こういったことを分かりやすくお伝えして導いていくのが、私の課題だと感じています。

Sさんの場合は、ヨガとの相乗効果もあると思います。鍼灸を受けつつ、ある程度動けるようになってきたら自分で動かしていくのはとても良いです。

ご家族の変化

ご主人も医療従事者で、Sさんが良くなっているのを見て、変化があったそうですね。

はい、主人は外科医をしているのですが。私が良くなっているのを見て、鍼って効くんだなと感じたみたいです。元々、手術後の不調には外科としてできることはほとんどないから、東洋医学が良いと思ってはいたみたいです。
最近は私が鍼灸の良さを熱く語って洗脳しているのもあって(笑)、ただ腰痛といっても患者さんごとにいろいろな背景があること、全身の関連性という視点など、視野が広がったと言っています。

そのお話を施術中にうかがった時、とても嬉しかったです。ご主人と私は多分同じ世代なので、これからそういう先生が増えていくのかもしれないなと希望を感じました。
忙しい病院の先生が、実際に患者さん一人一人の事情に、時間をかけて向き合うのは難しいと思いますが。病院によっては、東洋医学科を併設していて、鍼灸を受けられるところもあります。そういう病院も増えたら良いですね。そこで受けてみて良ければ、近所で合いそうな鍼灸院を探してみることもできますから。その流れでうちに来院されている方もいます。

そう、主人も、自分も鍼を受けてみたいと言っています。すごく忙しくて疲れているし、手術はずっと下を向いてやるので首が辛いみたいで。

開業前は、首の症状に特化した治療院で勉強させてもらっていたので、病院で手術しかないと言われた頸椎由来の症状が、院長の鍼治療で改善していった例をスタッフとして横でたくさん見てきました。鍼が全てとは言えませんし、鍼灸師によって得意分野があるので、鍼灸院ならどこでもというわけではないですが、良さそうなところがあれば是非一度受けてみていただきたいです。

身体以外での変化

いろいろお話をうかがっていると、調子が悪くなる前は、かなりの行動量だったんだろうなと感じます。ペースダウンせざるを得なくなったことで、見えてきたことなどはありますか。

前までは、家族のことと、好きでやっている仕事を両立するのに、睡眠時間2、3時間で仕事に行ったりもしていて、その調子で気合いで死ぬまで走り抜けられると思ってんたですけど、ダメでしたね(笑)。気が上がりまくってたんだなって分かりました。子供にも勉強のことであまり厳しくし過ぎないいようにしています。
今は復職に向けて、気を下げるように、バランスを模索しながらやっています。

鍼灸の効果の1つに「陰陽のバランスを整える」があって。Sさんのように働きすぎてしまう(陽)という方もいれば、逆に働きたいのに働けない(陰)という方もいます。そういったアンバランスは、身体だけではなく、考え方の癖など目に見えないものも影響しているので、数回で解決する世界ではないですが。まず「身体」という目に見える土台を整えること、鍼灸師としての役目は、そこだと思ってやっています。
パワフルに動けるというのはSさんの貴重な特性なので、それを無理なく活かし続けられるようなサポートの1つとして、鍼灸が役に立てればいいなと思っています。

ご協力、ありがとうございました。

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