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患者さんインタビュー『薄皮をはがすように… 』前編

6年以上、定期的な来院とセルフケアをしっかりされている方に、今に至るまでの道のりを伺いました。長くなるので前後半で分けました。

患者さんの情報

Iさん、44歳(2019年4月初来院時)
インタビュー日:2025年11月5日

インタビュー

Iさんはお辛い症状が改善してきてからも、こまめな来院(月3回)を欠かさず、セルフケアもしっかりされていて、いつもこちらが感服してしまいます。そのモチベーションがどこから来るのか、ずっとお話を伺いたいと思っていました。今日はよろしくお願いします。
6年前の来院当初の状態を、覚えている範囲で教えてください。

長い長い暗闇のトンネルにいましたね。ここに来る半年くらい前から、腰痛、肩こり、めまい、動悸、息切れ、手の火照り、とても疲れ易いなど、とにかく辛かったなぁ…。会社を休みがちだったり、よく早退しているような状態でした。気付かないうちにあまり食べられなくなっていて、職場の人に「すごい痩せたね」と言われて気付いたくらいで、一番痩せてしまった時で体重38キロでした(身長は159センチ)。

本当にすごくお辛そうだったのを覚えています。病院での検査は何も問題がなかったんですよね。

はい、大学病院で「原因不明の不調」を見てくれる専門外来があったので、そこで血液検査、血圧測定、尿検査、心電図検査など一通り受けましたが、数値的にはオールA、問題なしで終了でした。「こんなに苦しいのに、これだけ検査しても?!」という気持ちでした。

私も社会人になって数ヶ月目に似たような感じになったことがあったので、「こんなに辛いのに、検査で何も問題がない」という泣きたくなるような気持ちを思い出します。
そこからうちに来ていただいたのはどのような経緯でしたか。鍼灸院を探されたんでしたっけ。

元々、整体やマッサージには通っていたんです。疲れを取りたくて。でもあの時の辛さは、自分の中では更年期とか、婦人科的なものかな、という思いもあったので、何か代替療法がないかネット検索して探していました。鍼灸院を探していたわけではなくて、こちらの「女性のための治療院」「病院で問題がない不調に」というのを見て来てみたんだと思います。

そうだったんですね。鍼灸は怖くなかったですか?

とにかく不調を何とかしたい気持ちが強くて、怖さはなかったですね。過去に腰痛がひどくて鍼を受けたことはあったんですが、私が緊張で身体をすくめるのでいつもすごく怒られて・・・そのイメージは強かったです。でもこちらは怒られなかったので、良かったです笑。

30人に1人くらいはくすぐったくて鍼ができない方がいますね。ツボを探ったり、お灸を置いたり、鍼管があたる時のピンポイントな刺激がダメみたいですね。動いてしまうと鍼が曲がったりして危ないので、「鍼が刺せないと私では改善に導けない症状」の場合はお断りするしかないのですが、Iさんはそうではなかったので大丈夫でした。
受けていただいて、何回目くらいで変化がありましたか。

初めて来た頃は暗闇のトンネルのど真ん中、辛さピークの頃だったので、すぐ変化したというよりは、少しずつ、という感じでしたね。吉本ばななさんがエッセイの中で、同じような不調の体験談を書かれていて。改善の過程を「薄皮をはがすように」と表現しているのにすごく共感しました。それで「ちゃんと良くしていかなきゃ」って腹を括りました。
20代30代はすごいハードワークで、そこから高齢出産して、性格的になんでもキッチリやりたいタイプで、いろんな積み重ねが原因だったのかなって今は思います。

通うようになって、ゼエゼエ息切れしてしまうのが減って、慢性的な肩こり、腰痛がないのがすごく楽です。
辛いから来るのではなくて、定期的に来るようにしたのが良かったなと思います。

文筆業の方は、職業病的な肩こり腰痛の対策で鍼灸を受けている方が結構いるみたいですね。最近だと田口ランディさんが鍼灸師の免許を取ろうとされているとか。
体調以外での変化はありましたか。

辛ければ適度にサボったり手を抜いたりするようになりました。自分を大事にすることで、自己肯定感が上がりましたね。

え、それってすごい、すごく良い変化ですよね。
今でも印象的なのが、まだかなりお辛そうな頃に「職場で長めの夏休みを取ってもいいことになっているけど、頑張って休まず行こうと思います・・・」と言うので、「え、休んで良いなら休みましょう?!」と言ったのを覚えています。そしたら「主人にもそう言われました・・・」と。
心身が辛い時って、休みがちなことへの罪悪感や収入減の不安もあいまって、視野が狭くなったり、適切な選択ができなくなることがあるんですよね。鍼灸師は、第三者の目という役割もあるんだなと感じました。

そうですね、当時はお金のことが一番心配だったかな。でも、徐々に「お金と時間を自分に使う」と決めました。

続きは後日、後編として投稿します。

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