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絵の教室に行って泣いた話(前編)

先日、初めて絵の教室に行きました。1日レッスンだったのですが、まさか絵の教室で泣くことになるとは思わなかったので、自分の思い出記録+誰かに何か感じてもらえるところがあればいいなと思って書いてみます。治療院のブログなので「絵を描くことと治療のことが繋がった!」というオチにする予定ではありますが、長い自分語りになると思うので、興味ない方はスルーしてください。

その日の1枚目に自分のやり方で描いた絵と、最後に描いた絵を載せます。

Before

After

自分でもびっくりの変化です。この変化がどう起きたかも含めて書いてみます。

描きたいけど描けないのよ

元々「素敵な絵をサラッと描けるようになりたい」という気持ちは10代の頃からあって、今でも時々わいてきます。絵の描き方を調べると「絵はデッサインが基本」「デッサン狂ってる絵はダメ」「最初は人体を球体や立方体で捉えて…」といった情報が出てきます。それで「初心者のための」系の本やサイトなどをみて試してみるのですが、自由に絵を描けるようになるイメージと繋がらず、最初の数日で終了してしまう、を繰り返していました。大人向けの絵の教室を調べても、デッサンや水彩画の教室がほとんどで、イメージと違いました。

開業してからは「治療について健康について伝えたいことを、絵も使って発信できたら、伝わりやすいだろうな」と思うのですが、なかなか取りかかれません。

絵を習ったり独習するのは無理そうなので、日常で「自分が描いてみたい絵、線」を集めてみることにしました。それで分かったのは、正確に描くデッサンには惚れ惚れしますが、それよりも心惹かれるのは「ダイナミックな線で一瞬を切り出すクロッキー」や、「独特な味わいのある線で描かれたペン画」だと分かりました。プロが大きな紙にクロッキーをする動画を見付けたときは、作品以上に、描く姿の美しさに感動しました。「クロッキーって、気を線で表現しているんだ!描いている空気も含めた作品なんだ!」という発見でもありました。

同じようにクロッキーのことを調べていた時、とても惹かれる線で描かれた絵に出会いました。作者は「長沢節」さん。

朝日新聞デジタルマガジン&[and]

多くのイラストレーターやデザイナーが輩出した美術学校セツ・モードセミナーが、今年4月に閉校した。その設立者で日本のファッ…

私が知った時は、ブルースリーと同じようにこの世にいませんでしたし、主催されていた「セツ・モードセミナー」も閉校していました。著作や、上記リンク先のようにご本人を知る人の話、「セツ・モードセミナー」の教え子の方々の話などを色々読んでみて、天才かつ個性的な先生だったのは分かりましたが、どうしたらあのような絵が描けるかは分かりません。

画集を見ながら真似て描いてみても、それっぽいだけの絵になります。生のモデルを見て描くのがクロッキーの本質のようですが、素人がクロッキー会に飛びこむほどのモチベーションもなく、心の中の「好きなものリスト」に保存して終了となりました。

その後、「高桑式クロッキー」という手法にたどりつき、形だけでなく気やエネルギー的な部分も見ている感じが、今まで一番しっくりきたのと、長沢先生のような線に似ている気がしました。

ネットで拾った写真を見て描くくらいでしたが、たまに、すごくときめく線が描ける時がありました。こういうまぐれを、まぐれじゃなく描くには練習しかないのかなあと思って、コロナ禍で暇な時に、時々グルグル描いていました。

以上が、長い前置きです。伏線も含んでいるので長くなりましてすみません。

教室参加

2月半ば頃、「絵が苦手という思い込みから解放される」という絵の教室のインスタ広告が目に留まりました。受講生の描いた絵がどれも素敵な上に、先生が「セツ・モードセミナー卒業」とあり、ドキッとして、「行きたいなーでもなー」とウジウジ迷っているうちに埋まってしまい・・・。後悔していたら直前で1席空きが出ていたので、滑り込みました。

当日、最初の自己紹介ではほとんどの方が私と同じで、「絵はずっと描きたいと思いながらも、中学・高校の美術の授業以来です」と言っていてホッとしました。私も思い返すと高校は美術を選択しなかったので、絵をちゃんと描くのは中学以来でした。

先生は最初に「みなさん、絵を描きたいと思ったとき、デッサンをやって、美大に行かないと・・・と考えて、そこで諦めてしまうんですよね」と話していて、やっぱりみんなそうなんだーと思いました。「でもそうじゃなくても絵は描けます。今日はその方法をお伝えします。」の言葉に安心するのですが、その直後「今日はみなさん描いた絵を見せ合いますけど」と言われて、一気に教室が「えええ・・・」という空気に😅

1枚目

最初に10分間、鉛筆で自由に先生の顔を描きます。消しゴムを使ってOK。

飽きっぽい私は5分で大体描いて、あとは無駄に影や線を足してみては「全然似てないなー、線足すとどんどんお爺さんになっていくなー」と思いながら時間が過ぎるのを待ちました。それが冒頭に載せたこちら。

それっぽく描けてはいるかもしれませんが似ていないです・・・。

全員の絵が回収され、名前を呼びながら先生が1枚ずつ掲げて、みんなに見せていきます。私も皆さんも、「うわあー・・・恥ずかしい・・・」という心の声が溢れていて、自分の絵が見られるのも、人のを見るのもソワソワします(後で書きますがその気持ちは枚数を重ねるごとに無くなってきます)。絵の経験者もいましたが、先生は誰の絵も、上手い下手など評価はしませんでした。

2枚目

次に、先生の指示した描き方で、また先生を見て描いたのがこちら。

突然の激変。描いている時に使う感覚・神経も全然違いました。1枚目は5分で描いたのに、これは10分ギリギリ。とてもそうは見えませんよね。帽子と輪郭半分しか書いていないのに「あと5分です」と言われて焦りました。思考をOFFにする描き方なのですが、集中力が切れるとすぐにまた「上手く描かなきゃ思考」が戻ってきて、「ここはもっとこうじゃないと変だし」と力が入ってくるので、またそれをOFFにして、先生に言われた通りに・・・を繰り返して必死に描いた結果、味のある絵が完成したのが意外でした。

3枚目

次は同じことをサインペンでやるので、修正できません。描いている間は「うわ・・・こんなつもりじゃ・・・あーもうこのまま行くしか・・・」とモタモタでしたが、回収されて先生が掲げた自分の絵を遠くから見た時、「あ、また、描いてみたかった味のある感じの絵になってる!さっきより良い!」と思いました。

さらに先生の「これね、無駄な線が1本もない。全部の線が必要な線になってるんですよ」の言葉が響きました。確かに1枚目は曖昧な線を重ねる中で一番それっぽい線を抽出していくので、消してもいい線ばかりです。2枚目は上手く描こうとする暇もない描き方なのに、消したい線はありません。描いている時の感覚の違い、1枚目の絵からの変化に、「なんなんだ、全然違う、全然違う・・・」と静かに混乱しました。

2枚目も3枚目も、モデルの先生には全然似ていません。誰かが自分の絵を見て「先生はこんなんじゃないのに・・・」と言ったのですが、その時に先生が
「似てなくていいんです。私を通して、この絵が生まれたっていうことなんです」
と言ったので、「ええ!そんな発想があるんだ!」とまた目から鱗の衝撃でした。上手く描く=そっくりに描く、の概念が崩れていきました。

先生はこの後も色々、サラッと深い発言をするので、メモ帳を持って行かなくて後悔しました。途中からスマホのメモ帳に書いたので後編で書けたらと思います。

長くなったので一旦ここまでで・・・。

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