今日の施術中、患者さんに「お灸はどういう効果があるのですか」と質問いただきました。
何年もこの仕事をやっていると、当たり前になりすぎて説明を省略しがちで、基本的なことを伝えていなかったなーと反省するこの頃です。なるべくこのブログで発信していきます。
お灸の効果は生理学的にも説明できますが、今回はなんとなく東洋医学(概論)的に説明したので、その方向で書いてみました。
ツボを2タイプに分ける
ツボを見るときは、大きく以下の2タイプに分けます。
凹んでいたらお灸する
鍼灸の古典に記載されている説明で、国家試験でもよく出る内容に
- 陥下するときは則ち之を灸す(凹んだ所にはお灸をする)
- 虚するときは則ち之を補う(力がない所は補う)
というのがあるので、基本的には、力のないツボにお灸をして気を補い、凹みを平らにするイメージです。
盛り上がっていたら鍼をする
逆に
- 盛んなるときは則ち之を瀉す(気が集まりすぎている所は瀉す)
なので、コリには鍼をして、詰まりを流して、盛り上がりを平らにするイメージです。
絶対的な決まりはありません
以上の古典の考えと、私の中で「火のついたもぐさ」「尖った金属」という物質の持つ性質上、「火で温めて補う」「金属を刺して気を通す」というのがしっくりくるので、この使い分けを基本の考えとしています。
とはいえ、お灸でも鍼でも、逆の用い方(お灸で瀉す・鍼で補う)をすることはできるので、この限りではありません。セルフケア用のお灸は、コリに乗せても楽になりますよね。
基本は「補う」
「瀉す」というのは、他の治療ではなかなか出せない、鍼の醍醐味です。
ただ、「瀉す」必要がある場合というのは、必ずどこかに「虚」があるとも考えられます。
例1:疲労で気が不足する(虚)→ 姿勢が崩れる →肩や首や腰が痛くなる(実)
例2:不安が強い(虚)→ 不快な刺激や言葉に敏感に反応する →イライラ(実)
患者さんは、実による症状を訴えて来院されるので、それを解決すれば満足されます。急性症状には良いですが、慢性症状では根本解決にならないことがほとんどです。そのため私の施術では、大元となる虚を補うのをメインとし、瀉はサブ。治りやすい状態にすることを重視しますので、効果を感じるのにタイムラグがあります。