先日、患者さんと食養生の話をしているときに「FODMAP(フォドマップ)って知っていますか?」と言われ、知らなかったのでネット検索したところ、腸で吸収されにくい炭水化物(摂りすぎると腸内で発酵して、ガスや下痢や便秘が起こる食品)のことでした。
私が腸の不調に悩んでいたピークの15年くらい前から、「食物繊維は体に良いとはいえ、摂りすぎると腸内で異常発酵してしまう体質の人もいる」という情報はちらほらありましたが、当時はまだこのような名前は付いていなかったので、時代の流れを感じます。「小腸の働きは明らかでなく検査も難しい」というのが一般人として得られる情報の結論でしたし、ここ数年で耳にするようになったリーキーガット症候群なんていう言葉もありませんでしたね。
そんな患者さんとの会話からほんの数日後、自分のメンテナンスで治療を受けていると、先生に「FODMAPって知ってる?本読んでみたほうがいいよ。小腸の状態が良くないから、何か食事に問題があるかも。」と言われ、これは勉強するタイミングということだなと思い、2冊ほど本を購入して読みました。江田先生というドクターが色々と本を出されているようです。
1冊目を読んでみたところ、高FODMAPとされる食品は、普段よく食べているものばかりで驚きました。私自身、摂り過ぎNGだと実感しているものは「乳製品・玉ねぎ・小麦」で、どれも高FODMAP食品です。パスタにデザート、カレー&ナンにチャイ、ドリアなど・・・外食だと選びがちで、週に1、2食くらいならいいのですが、連日となると、異様にガスが出たり、腸の動きがぴたりと止まってしまう感覚があり、脚も浮腫みます。小麦断ちや断食をしてみると、脚ってこんなスッキリしているもんなんだな・・・と実感します。今後は高FODMAP食品とされる他の食材も意識しながら生活してみようと思います。
1冊目は食養生のための内容ですが、2冊目は小腸の不調(SIBO)について、医学的なメカニズムも書いてあります。過敏性腸症候群(IBS)とされた方の多くがこのSIBOであること、検査法も確立されているなど、治療家としても役立つ内容です。まだ読み深めているところで、またあらためて感想を書きたいです。
当院に内臓系・婦人科系の不調で見える方も、小腸(全体または回盲部)に停滞(エネルギー的だったり水分的なものだったり)を感じる方は多いです。大体、パンや洋菓子が好きな方が多いですね。そういった方には是非、上記の本を読んでみて欲しいと思います。今のところ貸し出しはできませんが、院内に置いてあります。
食事に関してはこんな本も置いています。
FODMAPのような専門用語は使われていませんが、大人の女性は食生活を見直していく必要があることを、症例を交えながら分かりやすく書いてあるのでオススメです。
小腸へのアプローチ
当院での施術では、内臓矯正をメインに、やはり全身をチェックします。小腸だけがおかしいわけではなく、骨盤の力がなく、横隔膜から下の内臓が下垂している方もいます。そうすると鼠蹊部で停滞するので、婦人科や大腸に問題が出てきて、そちらが主訴で来院されたりもします。小腸の内容物が逆流すれば胃の不調にもなりますし(機能性ディスペプシアについての記事でも少し書きました)、胆嚢の不調も影響しますので触診します。
問題のある場所を鍼灸やオステオパシーのテクニックで整え、必要に応じて筋力強化なども行います。
構造・器質的なもの、気の流れを整えてもなお変化しない場合、メンタルなどの問題も考慮してチェックしていますが、専門家ではないので、こちらからはあまり深入りはしていません。思い当たることがあって話したければ話してもらうという感じです。
未開の症状の治療は養生とのグラデーション
このように最近になって病因が解明されつつあるような新しい疾患は、「週1回程度、陰陽や自律神経のバランス、気の流れを整える」だけでは解決も、効果の予測も難しいです。特に消化器官の不調は、毎日2、3回摂る食事(+間食)や運動不足などの生活習慣によって引き起こされている可能性が高く、そこを解決しないまま、治療だけで「はい治りました」、はあり得ないことは想像がつくかと思います。
新しい病気に関しては、鍼灸治療などの文献も多くないので、上に書いたように手探りになります。今回患者さんから情報をもらったように、患者さんが日常の中で模索したことや、治療後の変化をフィードバックしてくれることで治療が成り立つ部分も大きいです。養生(自分でやる)と治療(治療家がやる)の中間のようなイメージです。こちらからも、あれこれと養生情報を伝えることが多く、「どれをやればいいの」となるかもしれませんが、自分がやってみて心地いいもの、続けられるものをやってみてください。