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『治らないという考え方は、治りませんか?』

ずっと書きたかった本の感想です。

この本との出会い

「発達障害は治りますか?」とはなかなか目を引くタイトルですが、特に発達障害について知りたかったわけではありませんでした。以前このBLOGで、精神科医の神田橋先生の書籍を薦められたことを書きましたが、それ以来、時々開いては難解すぎて挫折する・・・を繰り返していました。同じ先生のもっと読みやすい本を読んでみたらとアドバイスされ、図書館にあった本がたまたまこの本だけでした。その日は気功練習もあったので、指導してくれているお医者さんにこのことを話すと、「神田橋先生は精神科の世界ではすごく有名で、僕も九州まで勉強のために見学させてもらいに行ったことがあるよ。僕が精神症状に西洋薬を使えるようになったのは神田橋先生のおかげっていうくらい。」と言われました。やはり波長が似ている人たちは同じようなところにたどり着くのだと感じ、私も一度でいいのでお会いしてみたくなりました。

治らないという考えは・・・

表紙のイラストの横に書いてある
「治らないという考え方は、治りませんか?」
という一文が素晴らしく本のテーマを凝縮しているので、あえてこの記事のタイトルにしました。
発達障害に限らず、当院に来院されるような、「病院では治らない慢性症状」に悩む全ての方にこの言葉を伝えたいです。本の内容も含めて、私が施術を通じて実現したいこと・伝えたいことはこれだったのかも、と、漠然としていたものを言葉にしてもらえた気持ちになりました。
 
発達障害に関して言えば、「治りますか?」に対する神田橋先生の答えは、「発達障害は、発達する」ということになるそうです。問題が全くない状態を目指しながらもうまくいかない当事者やその家族の方々にとって、新しい視点と希望を与える言葉なのではないでしょうか。でもまだまだ精神医学の世界では異端な考えだそうで、神田橋先生のように、患者さんの体のバランスの崩れも見るような精神科の先生は少ないようです。残念なことです。
 
本の中身は、神田橋先生と、治療に携わる方々、発達障害当事者の方、出版社の社長の対話になっているので、医師の一方的な話ではないのがより説得力がありますし、とても気軽に読めました。発達障害への理解も一歩進んだ気がします。

鍼灸も出てきます

神田橋先生がすすめるものの1つとして、鍼灸も取り上げられています。

私がこの本を読んでいて感じたのは、発達障害の方は気の流れが滞りやすく、その蓄積が関節のアライメントを微妙に崩し、さらに気の流れが悪くなるという悪循環で、それが落ち着きのなさや脳の暴走にも影響しているのだろうということです。気の流れを整えるのは鍼灸が得意とするところですし、関節モビライゼーションや頭蓋調整をするだけでもかなり落ち着くだろうと感じました。今私が勉強しているオステオパシー団体の代表の先生は、チック症状も頭蓋から施術をして改善させていました。

また、以前発達障害のお子さんがいる患者さんから聞いたところで、「食事を変えたらかなり良くなった」という話があります。やはり腸内環境や血液の状態も脳に大きく影響すると考えられ、内臓の状態をチェック・調整できるオステオパシーや鍼灸の有効性も感じています。

養生法を伝えることの大切さ

私はこの本を読むまで、患者さんに養生(セルフケア)を伝えることは、自分の施術で結果が出せない現実から逃げている気がして、積極的になれませんでした。今でも「治療だけで結果を出せてこそ」という気持ちはありますが、本を読んで、

  • 高名なお医者さんでさえ養生をすすめている
  • 治療と養生は同一線上にある
  • 施術者の目線で養生を伝えることの意義

など、腑に落ちました。

病院の保険治療では、時間もできることもかなり限られています。私のように自費で、時間をかけて全身をみながらバランスを整える施術でこそ、その人によりマッチする養生を伝えることができるのだと、考えが変わりました。世の中にはセルフケア情報が溢れていて色々試してみる方は多いと思いますが、実際にどれが自分に合うのかは、自分の視点だけではなかなか分からないものですよね。下手をすれば悪化することもあります。

そんなわけで、患者さんがやる・やらないにはこだわらず、伝えること自体は無駄ではないと思うようになりました。具体的には、お灸と米ぬかカイロ以外にも、簡単な気功体操、ストレッチ、ボールやポールなどによる筋膜リリース、食養生情報、書籍の紹介などをおすすめしています。

実際に家で続けているという患者さんの体を見ていくと、治療効果が長持ちしているのを感じます。そうすると、施術は次の段階に進めるので、改善速度はより加速します。

患者さんから、自分で工夫してこうやってみているとか、続かなかったとか、その理由などを教えてくださることもあります。それは当事者の方の生の意見として、別の患者さんへのアドバイスに活かすこともできます。

そういった患者さんや自分自身の経験から感じるのは、「命に関わる心配はないけれど健康とは言えない不快な症状」「加齢に伴う症状」は、完全に他人に任せて何とかしてもらおうと考えるのをやめ(諦め?)、自分で自分の症状に向き合い始めると、まず気持ちが変化していくということです。「誰も治してくれない!」というイライラや「治らないんだ」という喪失感が減ってくるだけでも、かなり良い変化だと思います。

とはいえ、初めは痛みが強かったり、自力で状態を把握するのは難しいので、治療8割・養生2割から始めて、徐々に養生の割合を増やしていくのが理想的です。

もう少し詳しく養生を知るには

こちらも同じ神田橋先生の書籍です。心身が疲れやすい方、周囲の気の影響を受けやすい方(子供も含めて)の参考になることが色々あります。

最後に・・・

いい言葉なので、最後にもう一度書きたいです。

「治らないという考え方は、治りませんか?」