自分が鍼灸マッサージ師になる前、治療を受けるだけの立場だった頃は、治療中に生活のアドバイスを色々言われると、「辛くてそういうことする気力もないからお金払って治療に来てるんだけど・・・」と思ってしまうことがありました。
治療する側になってみると、「症状をなくすこと」に集中するほど、「月1、2回の治療だけでは改善に限界がある」と思って、あれこれ言いたくなってしまう自分がいます。「少しでも良い方向に」と考えれば、日常生活で気をつけた方が改善に向かいやすいというのは断言できるので・・・。でも、心身が疲れて治療を受けに来ている人にもそれを押し付けてしまうと、治療へのモチベーションまで落ちてしまいますね。
そんなこともあって、日常生活のアドバイスは押し付けにならないように気をつけていますが、最近になって患者さんたちがちょっとしたアドバイスを積極的に取り入れてくださっていると分かり、びっくりしつつ嬉しいなと思います。
例えば・・・
自律神経系の不調の方に特徴的な体の状態があるのですが、これを解消するには治療だけでは限界があります。自分の体験としてピラティスが非常に優れていると思っているのですが、ヨガほどメジャーではなく、専門のスタジオや個人指導でないと逆に痛める可能性もあるので、ちらりと紹介するに留めています。
そんな中、先日患者さんが「職場の近くにピラティスの個人指導見つけたので始めたんです!」と報告してくれました。個人指導ですとうちの治療費より高いと思うのですが、治療も続けながらピラティスもやってくれています。まだ数回目で、骨の動きをつかむのはなかなか難しいそうですが、10〜30回と数を重ねるほど、必ず変化を実感していけますので、楽しんで頂けたらいいなと思います。
他にも、体の状態を見てふと「炭水化物・・・パンとか好きですか?」と聞いただけなのですが、思い当たる節があったようで、「なるべくご飯にするようにして、そしたら自然と食事の量も減ってきたんです」と教えてくれた方もいます。私自身は、食事の大切さに気づくまで相当の年数を要したのですが、その方はたった1、2回の治療とふとした一言で、真面目に食生活の改善に取り組み始めて、びっくりしてしまいました。食事に気をつけている方は、治療の変化が出やすいので、自発的に取り組んでもらえるのはとても助かります。
お子さんに生理がきたという患者さんに、布ナプキンや天然繊維に近い素材のナプキンのメリットデメリットなどを紹介したこともあるのですが、「いろいろ調べて、自作しようかと考えてて」と言われて、その熱心さにまたびっくりです。
自分で決めることの効力
こういった能動的な行動が、細胞レベルでも自然治癒力が発動しやすくしてくれると考えています。治療を受けることも1つの良い行動なのですが、「自分の心身に耳を傾けながら、自分で判断して行動していく」ことは、治療とはまた違った質のエネルギーだと思います。
ここでの治療は、その人それぞれの健康に対する「やる気スイッチ」を押す時間でもあればいいなと思います。
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